「肘を下げないで」となぜ注意されるのか?

こんにちは、新宿、横浜で活動しているバレエトレーニングディレクターの猪野です。

 

踊りの最中に「もっと肘を上げて!」とか、「腕を張って!」などの注意を受けたことはありますか?

 

注意の言葉が、「腕や肘」なのでついそこだけに意識が行きがちになりますよね?

 

踊りでは脚の動きに振りが集中しがちになるので、腕がおろそかになる事があるかもしれません。

 

しかし、バレエにおける上達の順序から言えば、腕がしっかりしてないとそれこそ脚が動かないのです。ただなんでそうなるのか、ちょっとわかりにくいと思います。

 

そこで今回は、肘が落ちる上でのデメリット、ポールドブラの解剖学、肘を維持する為の考え方、を紹介します。

肘が落ちる事のデメリット

肘が落ちることで起こる運動学的に最大のデメリットは骨盤が立たなくなり(タックしたりダックしたり)、体幹が抜けてしまうということなんです。

 

ええ!?なんで!?って思いますよね。それは腕と骨盤が1つの筋肉で繋がっているからなんです。それは後ほど説明しますが、

肘が落ちる

体幹が抜けている(特に背中)

引きあがらない

踊りが安定しない

 

肘が落ちる事でこんな構図も成り立ってしまいます。何よりもバレエとして美しくない訳です。

 

ターンアウトが出来ないことよりも肘が落ちてる方が圧倒的に格好悪いです。なぜなら目がどうしてもそこに行くからです。アームズが踊りの為にあることを考えると「美しくない」は踊る上で最大のデメリットと言えるでしょう。

 

しかもターンアウトと違い肘を落とさない為に必要な向き不向きがほぼないです。大人だろうと子供だろうとやれば出来ます。

 

ターンアウトがどれだけの角度で開くかは持って生まれたそれ用の形が大事です。でも肘が落ちるのは単なる努力不足です。

 

もう一回言います。やれば出来ます。

 

ポールドブラの解剖学

腕には色々な筋肉がくっついていますが、今回注目したいのは背中です。ポールドブラの筋肉と言っても、腕だけではないのです。

 

背中で一番大きい広背筋という筋肉があります。下の部分は仙骨から始まりすごく広範囲をカバーしています。この筋肉は体幹を背中側からサポートするキーマンの一人です。

なので広背筋が上手く使えないと腹筋を鍛えていても体幹の安定が、後ろを支えるという意味で難しくなってしまうのです。

 

これが肘を落とさないこととどう関係するかと言えば、広背筋の上の部分が上腕骨(腕の骨)に付いているのです。これが上手く働くと肘を落とさないでサポートしてくれるという機能が踊りを支えてくれるのです。

 

広背筋は腕の前側の力こぶが出来る部分のちょっと上あたりにくっついています。〇を付けているところです。なので肘が落ちないようにきちんとアンデダンしてくれるのです。

 

たまに勘違いしている方がいますが、腕をアンディオールしたら肘が落ちちゃいますからね。脚はアンディオールですが、腕はアンデダンですよ。前肩にならないようにしながらアンデダンです。

 

さて、つまり肘が落ちるということの原因の1つはこの広背筋が上手に機能していないということなので、さっきも紹介した

肘が落ちる

体幹が抜けている(特に背中)

引きあがらない

踊りが安定しない

 

という構図が出来上がってしまうのです。

 

ちなみに振付によっては当然わざと肘を落として使うこともあるわけですが、この時に体幹が抜けるのかというとそうでもありません。肘が落ちても体幹を抜けないように意識していくわけです。

 

ただ、練習(バーやセンター)では肘を落とさないことが振付の一部なわけですから、しっかり守るようにしてください。そうすれば肘を落としても使える体幹が身に付きます。

肘の為に(だけじゃないかも?)考えるべき事

バレエにおける身体の使い方はいかに「ラインを美しく見せるか」が基盤になっています。なのでバレエの動きに疑問がある時、その答えは常にバレエの教授法とか踊り方の中にあります。

 

解剖学はバレエの動きを説明出来るかもしれませんが、答えが必ずあるわけではないのです。説明出来ることがバレエの正解であるとは限りません。なので解剖学を勉強したからといってバレエを理解した、なんていうのは思い上がりなので注意しましょう。

 

例えば、ふくらはぎの痛みの原因が使いすぎだと説明されても、じゃあルルベをしないのが正解なの?ってそんなわけないじゃないですか。

 

バレエを理解するなら教授法を学んだ方が早いし確実です。踊り方を教えてくれるからです。特に先生は。

 

それでもなお私が解剖学的なアプローチをするのはバレエの美しさをより良く表現する為と、より安全に踊るためのツールとして使っているからです。

 

今回もただ先生に肘を落とさないで言われたままと理由も分からなず頑張っても中々身につきません。特に理屈で考えやすい大人はそうなります。

 

でも、背中をサポートする広背筋が腕に付いていて、肘が上がることで体幹のサポートとバレエにおけるポールドブラの美しさを維持してくれていると知ることが出来れば、気合が入りませんか?

 

逆に肘が落ちているとそれらが全部なくなるわけです。恐怖ですよね。危機感が最大です。

肘が落ちただけであんなに頑張った体幹トレーニングの意味がなくなっちゃうなんて!!

 

そのくらい肘が大事なんです。その為には気合ってかなり大事なんです

 

ここにきて精神論!?とか思うかもしれませんが、気合は大事です。特に大人の人は心のどこかで「自分は大人だから無理」と思っていたりします。ポールドブラに関して言えばそれはです。

 

自分で手に入れようとしなければノウハウなんか学んでも意味ありません。ポールドブラは出来ます。なので、今まで出来ていなかったのであれば、ぜひまずは少し意識を高くしてレッスンに行って頂きたいと思います。

 

 

先生によっては「背中で踊って」と言いませんか?広背筋を使ってポールドブラを使えれば背中で踊るって事になるのです。

以前に紹介した多裂筋のエクササイズも肘を落とさないようにするのに有効なトレーニングです。仙骨と背骨が安定するとポールドブラにもいい影響を与えます。ぜひやってみてください。

 

今回のまとめ

①肘が落ちると体幹が抜ける

 

②広背筋は仙骨と腕を繋いでサポートしている

 

③解剖学を勉強したからってそれだけでバレエが理解できるほど甘くない

 

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  • ABOUT

    猪野 恵司 -Keiji Ino-

    バレエトレーニングディレクター
    プロフィール詳細

    カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で機能解剖学を学ぶ。
    大学卒業と同時にサクラメントバレエ団でプロダンサーとして活躍。退団後はバレエ専門のパーソナルトレーナーとして活動している。