バレエではなぜ前腿を使うなと言われるのか?

 

こんにちは、新宿、横浜で活動している日大出身のバレエトレーニングディレクターの猪野です。

私は日大にいた時期があるので、これからの自分の進学や就職に影響が出ないか、とても心配です。

 

さて、バレエの世界でやたらに嫌われている前腿の筋肉達。名前としては大腿四頭筋と言われます。先生からは「前腿を使うな」といわれている方も多いのではないでしょうか?

 

この「前腿を使うな」という言葉も何を表したいのか、微妙に伝わりにくい所ではあります。前腿のテンションを本当に0にしたいのか、少しは使うけど敢えて意識する必要はない程度なのか、その辺りの定義を始めに共有していないのに、いきなり「前腿を使うな」と言われるととりあえず力を抜こうとするのではないでしょうか?

 

でもそれだと歩くことも出来なくなるし、膝の伸ばす筋肉も働かなくなってしまいます。なので、私から言わせると前腿は使うのですが、そうすると「先生と言っていることが違う!」となって問題が解決しないので、今回は前腿をもう少し細かく見ていくことで「前腿は使う」と「前腿は使わない」をすり合わせて矛盾を取り除いていきましょう。

 

前腿にも4種類ある!

そもそも前腿という言葉で一括りにしているから「使う」「使わない」で平行線なんです。最初にも書きましたが大腿四頭筋という名前です。四つもあるので範囲は結構広いのです。

 

大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋という四つです。

この四つの中で主に使いたくない部分と使いたい部分があるのです。今回のポイントは外の腿です。

使いたくないのは外

よく言われるように前腿の中で使いたくないのが外腿です。水色の辺りの筋肉です。名前としては外側広筋です。

これが使われすぎるとターンアウトの邪魔になるのと、脚が外に張り出して脚が太く見えますし、О脚になりやすくなる方向に力が働きます。

 

なぜ、ターンアウトがしにくくなるかと言えば、ターンインする筋肉である大腿筋膜張筋とそこに繋がる腸脛靭帯に重なるように付いているのです。外腿(外側広筋)に力が入りすぎるとターンインする筋肉にスイッチが入りすぎるようになってしまうのです。

バレエではターンアウトしたいわけですが、この状態ではブレーキを全開にしてアクセルを踏むようなものなので、これで90分のレッスンでやり続ければ当然外腿は太くなります。ターンアウトもしにくいのでもっと大きな力を使わないと満足なターンアウトが出来ません。

 

そうするとお尻で一番大きい筋肉である大殿筋を使わないとターンアウトが出来ない状況になります。ところが、この大殿筋は先ほどの腸脛靭帯に後ろからついているので、ターンアウトを邪魔するブレーキがさらに強くかかります

 

そして、また外腿のテンションも上がるし、、、、というスパイラルの陥ります。それを見た先生は「前腿を使うな」と言いたくもなるわけです。パッと見がガチガチですから。

 

このようなメカニズムで外腿は太くなっていきます。脚を上げたときに張るというよりは立ってる時に太くなるわけです。

反り腰を直すと外腿が!?

一番外腿が張って太くなる原因としてよく見るのが、まず骨盤のコントロールの無さです。腹筋の無さではなく、骨盤のコントロールです。

 

例えば、反り腰の人の場合だと先生からは「腰を反らないで」と良く注意されますよね。自分としても反り腰を何とかしたいので骨盤を真っすぐにしようとするはずです。

 

ところが、真っすぐに立っている時よりも、プリエをしている時の方が骨盤は簡単に反り腰にもタック(反り腰の逆)にもしやすくなるのです。

 

やってみると一目瞭然です。プリエの時の方が骨盤が楽に動きます。骨盤を前とか後ろとか動かそうとするとプリエしている時の方が簡単に動くのでやってみてください。

 

それを踏まえて考えると、立った状態で骨盤が動きにくい所から、プリエをして骨盤が動きやすい所になって来た時に「反り腰を直す!」という感覚で反り腰と逆方向にただ骨盤を動かそうとすると、骨盤がもれなく後ろに倒れるタックになるのです。

 

これも試してみるとわかりやすいですが、タックをしたままプリエをすると、ものすごく外腿が張ります。これを90分のレッスンでやり続けたら当然太くなります。

 

この状態で前腿を使わないとか言われても無理でしょう。本当は骨盤の位置をまず正すことが近道ですが、結果として起こる「前腿を使わない」だけが注目されて、いつまでも問題が解決せずに終わるのです。

 

ターンアウトの程度も関係ないです。プリエをした時などに外腿が張らない所に骨盤の位置を維持しなくてはいけないのです。これが一般的にいう所の「骨盤を真っすぐに」です。

 

 

いかがでしたか?外腿が張るというのは言い換えれば、きちんと立ててなかったり、おかしなテクニックをしているということなんです。あくまでも結果として張るのです。

 

まずはなぜ張っているのかを考えてみましょう。

 

骨盤は真っすぐですか?ターンアウトを無理してませんか?

 

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  • ABOUT

    猪野 恵司 -Keiji Ino-

    バレエトレーニングディレクター
    プロフィール詳細

    カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で機能解剖学を学ぶ。
    大学卒業と同時にサクラメントバレエ団でプロダンサーとして活躍。退団後はバレエ専門のパーソナルトレーナーとして活動している。