自分の踊りをギャンブルにしないために

こんにちは、新宿、横浜で活動している

バレエトレーニングディレクターの猪野です。

武井壮さんの「大人の育て方」という動画に感銘を受け
書いてみることにしました
この動画、30分ありますが
ぜひ先にご覧ください。
踊りの話は出てきませんが
踊りにおける社会的な価値というものが
かなりわかると思います

見ましたか?

さて、
バレエを仕事にしたくて
練習を頑張っている人は
沢山いると思います

バレエは芸術だと言われますが
その芸術性だけを高めていって
素晴らしいものが作れたとしても
お客さんが見に来てくれないと
お金になりません
お金がないと仕事として成り立ちません

バレエをやりたいと思っていて
頑張るのはとてもいい
しかし、プロダンサーになりたいならば
お客さんを呼べるものにならなければいけないわけです
なので倍率は当然とても高いです

そんなレベルのダンサーになるのは
大変、言葉では表せない困難がありますが
ただしダンサーになるというのは
仕事としてみたときに
すごくコストパフォーマンスが低いものである場合が多いです

本気でプロになろうと思ったら
月々の月謝、バレエ用品、トゥシューズ

留学費用、発表会費用、コンクール遠征費用、オーディション遠征費用

さらにこれはスタジオにもよりますが

高すぎる男性ダンサーへのバカみたいなお礼(税務申告されない)
意味不明な先生へのお礼金 (非課税)
など、さまざまな出費がかさんできます

1000万円や2000万円は平気で飛んでいきます

スタジオを選ぶ際は

特に発表会時のお金の詳細など

慎重に吟味してから入会しましょう

さて、

で、晴れてプロになれました
給料はいくらもらえるでしょうか?

日本のカンパニーなんて
ほぼ給料すらないところも多いです
出演料ですから
リハーサルをきちんと出ていても
直前に怪我したらお金は0です

実際もらったとしても
履きつぶしたトゥシューズが買えるくらいで
赤字なんてのもザラです

どうしても踊る以外にバイトが必要です

海外はまだ給料が出るところもありますが
生活できるお金が入ればラッキーです

ちなみに、私の給料はだいたい

月に18万くらいでした。日本円で

食べれるだけラッキーですが

払ったお金に対するリターンが

少なすぎますよね、

現状としては

そのうえオーディションの倍率も
100倍、200倍は当たり前で
ビデオを送っても10通に1通も返事すらありません

プリンシパルなどのトップに立った所で
年収1億とかある人
どのくらいいるのかって話で
プロ野球選手なんかとも比較にならないくらい
給料水準が低いのです

それはそうです
東京ドームのキャパシティがある劇場なんてないですし
それを埋められるカンパニーもまたないからです

 バレリーナは相当に分の悪いギャンブルです
しかも、当たったところで期待値も低いというものです

別にバレリーナを目指すなと言っているわけではないのです

目指すならば、この現実を知った上で目指すべきなのです

子供にバレリーナの夢を託した。
でも、その職業では食べていけません
というのでは子供がかわいそうだと思うのです

子供自身も
こんなはずではなかったと思って欲しくないのです

バレエの為だけに生きてきたような子は
バレエに関してはエキスパートですが
その外に出ると、他は素人同然なんです

バレリーナを目指していたから
能力が高いとは限りません
バレエ以外に社会でどれほどの仕事ができるのでしょうか?
とてもリスクが高く思えます

私、今子供の夢を潰すようなことを書いてますが
子供が将来生きるのは夢の世界ではなく
現実の世界ですから
事実は事実として知るべきです

バレリーナになりたいと仕向けておいて
その大変さをきちんと教えないのは
罪だと思います

最終的には結局、確率の問題で
なれるなれないはギャンブルですが
それでもバレリーナになりたいならば
その確率と期待値を意図的に上げる必要があります

大事になるのがプランです
バレリーナとして食べていくためには
どうなればいいのかを計画する必要があるのです

どの国のどのカンパニーならば
生活しやすいのか
そこに入るためにはどんな手段が有効なのか

オーディションなのか、直属の学校なのか
コンクールのスカラシップなのか
きちんと自分でも調べましょう

人脈があれば
あるカンパニーがダンサーを欲しがっているとか
そういう表に出にくい情報は
最優先で集めましょう

オーデイションの申し込み方や
DVDの送り方にもコツがあります
しっかり調べてください

コンクールに力を入れる教室にいると
プロになる道がそれだけのように錯覚しますが
そうではありません。

あらゆる道を探ってください
バレリーナになるために
それは時としてレッスンを受けるより
重要なことです

サイコロを振って、
出た目に振り回されるような
頑張り方ではなく

現実的に勝ち目があるところで勝負をしてください
でないと本当に勝てません

自分はどんな世界で頑張っていて
実際にプロになれたら
自分の状況はどう変わるのか?

漠然と「なりたい」ではなく
自分の目指すものがなんなのか
しっかり捉えていきたいですね

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  • ABOUT

    猪野 恵司 -Keiji Ino-

    バレエトレーニングディレクター
    プロフィール詳細

    カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で機能解剖学を学ぶ。
    大学卒業と同時にサクラメントバレエ団でプロダンサーとして活躍。退団後はバレエ専門のパーソナルトレーナーとして活動している。