睡眠を削ってする練習はレベルアップを9割逃がす

こんにちは、新宿、横浜で活動している

バレリィーノトレーニングディレクターの猪野です。

 

今回の問題は教室のスケジュールや学校のスケジュールに関わる問題なので、完全に無くす事はとても難しいのですが、それでも知っていることで変わることがあると思って書くことにします。

踊りはいつ上達しているの?

上手くなるためには練習する必要がありますが、みなさんは上達するとは一体いつ起こっていると思いますか?

質問の意味がわかりにくいですね。例えば、1日のスケジュールとして、朝起きる、学校に行く、レッスンに行く、帰ってくる、寝る、次の日起きる。という流れだったとして、一体どの瞬間に自分の踊りが上達していると思いますか?

 

多くの人がレッスンに行って踊っている時に上達していると思ってませんか?もちろん間違いとは言えません。でも多くの場合、練習をしている瞬間に踊りが上達しているわけではないのです。

実験してみましょう。例えば、タンデュをすごく綺麗にしたいとします。そこでタンデュを練習します。その練習の質がとても高いものだとしても1000回くらいタンデュしていたら、もう疲れて足先さえ伸びなくなるかもしれません。この時、この瞬間に1回目のタンデュと比べて1000回目のタンデュが綺麗になっているでしょうか?多分なってないです。疲れて動かないです。もし、練習中に上手くなるとしたら、1000回目のタンデュは1回目よりも明らかに綺麗になっているはずなのです。ただ、そうはなりません。

しかし、次の日もしくは筋肉痛がとれた日のタンデュは綺麗になっているのです。当然だろって?休んだのだから?そう、そこなのです。

 

質の高い練習によって、身体を鍛え、脳にその効率の良い動かし方の刺激が加わります。でもその有益な情報は最初はまだ自分の物というほど落とし込めていません。

例えるなら、アマゾンから段ボールに入ったままの荷物が届いただけで、箱を開けて、中身を取り出し、組み立てたり電源を入れたりしないと、折角の届いた荷物も機能しません。

上手くなるのは寝てるとき!?

ではいつ、その練習したタンデュをキチンと自分の物と呼ばれるくらいに落とし込んでいるかと言うと、寝ている時なのです。練習したものが自分の糧となりレベルを上げるのは寝ている時なのです。

練習によって入ってきた刺激が脳によって、自分に必要なものだと判断され、その動きをよりスムーズにするための神経回路の作り替えがたくさん起きるのが睡眠時です。なので、たくさん練習をしてもそれが神経のレベルまで落としこまれなければ踊りに上達は起こりにくくなります。

寝ていない状態とは、アマゾンであれもこれもと注文したは良いけれど届いても箱さえ空けずに部屋に転がっている状態です。これがレッスンしても寝ていないことで起こります。そのうち箱を開封することさえ面倒になり、有益な情報が頭の中に箱に入ったまま転がることになります。そして、空けることのない箱は必要のないものと判断されいずれ大抵は捨てられます。

先生としては必要な情報は与えているのに、寝てない生徒の側は箱を開けられないので上達しません。

クライアントの話を聞いていると、多くの子が夜遅くまで練習しているようで、いつも疲れた顔でトレーニングに来てくれます。もし上達を感じないならばそれは練習不足ではなく睡眠不足かもしれません。あと、栄養もありますが。

上達のタイミングを勘違いしていれば、上達しない問題に改善策を打てません。なぜなら練習が足りないという結論しか出ないからです。

踊りが上手くなりたいなら、きちんと夜寝る。ということを見直してみたいものですね。

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  • ABOUT

    猪野 恵司 -Keiji Ino-

    バレエトレーニングディレクター
    プロフィール詳細

    カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で機能解剖学を学ぶ。
    大学卒業と同時にサクラメントバレエ団でプロダンサーとして活躍。退団後はバレエ専門のパーソナルトレーナーとして活動している。