新宿、横浜で活動しているバレエトレーニングディレクターの猪野です。

みなさんは、先生から出来るわけない注意を受けたことがありませんか？

もっと、飛べれば脚は伸びるのよ！

いいからダブルくらいで崩れないで！

もっと速く脚を動かして！

こんな類いの注意です。

バレエの先生というのは誰でもなれてしまいますが、

それでも基本的にはプロダンサーだった先生は多いわけです。

プロになれただけあって、

その先生にはそれなりの踊りの才能があります。

でも、それを他人に伝える能力があるかは別です。

先生も踊りに対して努力はしたでしょう。

でもプロになる人間のほとんどは「やってみたら何か出来た」

という経験を経ているので、

出来ない人間の気持ちがわからない場合が多いです。

なので、教え方を学んでいない先生は

トップダウンの教え方になりがちです。

トップダウンとは、上位にある技術を取り敢えずやらせてみて、

出来なかったらその下の技術の練習、というように、

上のレベルから下のレベルへと落としていくやり方です。

例えば、いきなりピルエットをやらせてみて、

出来なかったら、バランスの練習をさせる

そんな感じです。

このやり方はその先生と同じくらいの才能かそれ以上ある生徒には有効です。

上手くやれば上達させるスピードはとても早いです。

でもよく脱落者を生みます。

基礎をおろそかにしがちなのも特徴です。

基礎を大事にしたい方、趣味でやりたい方は

ボトムアップで教えてくれる先生がお勧めです。

まずは正しい立ち方、出来たら片足になり、ルルベに挑戦して、８分の１だけ回ってみる

こんな感じで下の技術から教えてくれる先生です。

メリットは綺麗に踊れるようになること。

デメリットは時間が掛かること、人によってはつまらないと感じることです。

カルチャースタジオとかスポーツジムはだいたいトップダウンの教え方です。

あんまり基礎だと楽しくないので、お客さんが付かない為です。

但し、うまくレベルを落とさないのでグダグダになりがちです。

踊りを踊る気分にさせることを提供しているので、それで良いなら良いですが、

レッスンが出来なさすぎると

自尊心が維持するのが厳しくなるので気を付けてください。

私は才能があろうとなかろうと、ボトムアップでの教え方が好きです。

迷いにくいというのと、上達の階段を上っている実感があるからです。

多くの人間を上達させようとするにはボトムアップしかありません。

ものすごい厳しい入学オーディションでもやれば別でしょうが。

バレエは教え方を勉強していない先生が多いです。

上達を感じない時には

才能ある子を無理やりプロのするような

無茶な練習をさせられ過ぎていないか、

考えてみるのもいいかもしれません。

発表会はありません！