新宿、横浜で活動しているバレエトレーニングディレクターの猪野です。
バレエの世界にも解剖学の考え方などが入ってくるようになり
レッスン以外でも何かエクササイズをしたり
整体に行ってみたり
インターネットで調べてみたりする方が
増えてきたように感じています。
その中でも効果を出せる人、出せない人が存在していて
どこに違いがあるのか
私が感じた例を紹介したいと思います。
結論から言うと
世界のどこかに楽に上達出来る方法があると思っている
という節がある人は
なかなか上手くなっていかないように感じます。
そこまでいかなくても
自転車に乗れた時のように一度出来ればずっと出来ると思っている
ような方も成長の速度がちょっと怪しく感じます。
例えば、世界一腕のいい整体師がいたとして
あなたは2時間寝ているだけで
世界最高峰のバレリーナ、
例えばオシポワと同じ事が出来る能力を得たとします。
さて、あなたはその身体を使って
オシポワのように踊れるでしょうか。
絶対に無理だと思います。
仮にそんなことが出来たら、
今まで人生で練習してきた感覚は全て役に立たなくなり
あり得ないくらいに動きすぎる関節を制御するのに
また一からバレエをやり直すことになるでしょう。
オシポワと同じだけ動く関節があっても
制御する筋肉も神経もないからです。
結局、バレエ学校でかける8年間というくらいの時間をかけることになります。
整体を否定しているわけではないのですが
楽な練習と効率の良い練習は全く違うものです。
効率の良い練習方法はいくらでもあるので
その結果、楽に踊れるようにすることは出来ます。
でも、楽して上手くなることはないと思ってください。
バレエはかなり繊細の踊りです。
普段のバーレッスンでは違和感程度だったのが
片足で回ったり、飛んだりしたら
昨日出来ていたことが今日できないなんて、
ザラにあります。
例えるなら、
毎日音が明らかに狂うピアノを使っているという感じでしょうか。
ドの鍵盤を押したのに、今日はレが出るとなったら
練習どころではないはずです。
やらないといけないのはまず調律で
それが終わってようやく練習がスタートします。
バレエではよく身体の調子によって
こんな不具合が出ます。
これは私の感想ですが
その不具合は大人やバレエ初心者の方が
より多く出る印象です。
上級者は自然と、あるいは意図的に修正しますが、
それが０になる人はいないでしょう。
そんな感じなので、自転車に乗れたから
あとは何も考えなくて出来る、
というのはバレエではあまり起きないとお考えください。
そんな中でも整体にせよトレーニングにせよ
あらゆる経験を血肉にして成長できるのは
自分の身体の変化を敏感に感じ取り
それを修正し続けることが出来る人間でした。
そんな人間はバレエの成長において
あまり迷子になりません。
もし、いま自分の成長に迷いを感じる方は
もう少し自分の身体を見つめてみては
いかがでしょうか。
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