子供にポアントはキャパオーバーになる

 
 
 
こんにちは、新宿、横浜で活動している

バレリィーノトレーニング代表


バレエトレーニングディレクターの

猪野です

 
 
 
前から書いている通り
 
小さいうちからポアントを履かせると
 
デメリットが多いことは
 
ご存知かと思います。
 
 
 
 骨は歪むから外反母趾とか
 
良いことはあまりありません。
 
 
 
なのですが、今回は
 
もう少し怖い話です。
 


 
子供を教える時、
 
当然基礎から教えるべき
 
という考えに
 
反対する人間は少ないと思います
 
 
 
順序よく学ぶというのは
 
結局1番の近道で
 
もっとも効率がいいからです。
 
 
 
あまり意識はしないので
 
とても怖いのですが
 
子供の学習出来るキャパシティは
 
決まっています
 
 
 
実は、あまり先取りをすると
 
それだけでキャパシティが
 
いっぱいになってしまうのです




どういうことかというと
 

例えば、

ポアントで

 
なんとか立ててしまうと
 
子供としてはそれを
 
出来る、と認識します
 
 
 
そうすると、本当に重要な
 

ポアントを履く前に

やらなければいけない

 
エクササイズやレッスンを
 
やらなくなってしまうのです



 
やらない、に語弊があるとすれば
 
吸収出来なくなる、と
 
言い換えても良いですね
 
 
 
でも気持ちは分かりますよね?
 
履けているのだから
 
なんでやる必要があるの?と
 


 
だから、足が弱いまま
 
柔軟性にモノを言わせて
 
筋肉でなく靭帯で支え
 
骨が柔らかいまま
 
基礎をやらず
 
コンクールでバリエーションなどを
 
踊り続ければ
 
どんなダンサーが出来上がるかは
 
想像に難くないと思います
 
 
 
 
そんな風にして
 
変なスキルが積み上がると
 
学びなおすのに
 
一度全てを壊さなくては
 
いけなくなったりします



 
とてつもない遠回りです
 
 
 

しかも

そのスキルの歪な積み上がり方に

 
気がつくのが
 
中学、高校などになってからで
 
プロ志望の子は
 
オーディションが迫っていたりします。
 
 


大抵体に痛みがあったりするので
 
それが休んでも治らずに
 
おかしいなと、思うわけです
 


 
日本の事情を加味すると
 
中学になってバレエを続ける子は
 
小学校に比べてグッと減るので
 
それまでにポアントを履かせたいという
 
気持ちは理解出来なくないですが、
 
それが一生の足の形を
 
犠牲にする価値があるかは疑問です
 


 
そのリスクを考えて
 
分かってやっているならば
 
私が止めるところでは
 
ありませんが
 
小学校四年生やそこらに
 
そんなリスク管理能力が
 
あるとは思えないので
 
責任の重さを考えて欲しいと
 
思います。
 


 
外反母趾は一回なったら
 
治りません。
 
 
 
話が解剖学に逸れましたが
 
あまり子供に
 
高度なことをやらせると
 
ダンサーとして
 
最終的に高いレベルには
 
行きにくくなります。
 
 
 
良い新しい癖をつけるのには
 

悪い癖を直す時間の半分で済みます

逆に言えば、悪い癖が一度つくと

その修正に

ひどく時間がかかってしまうのです

余談ですが、

アメリカンバレエシアターの


プリンシパルである
ディビッド・ホールバーグが

怪我をして

オーストラリアンバレエで体の使い方を

1年半掛けて

学びなおしたそうです

トップの中のトップのダンサーが

トップの中のトップの指導者の下で

1年半かけないといけない程

難しい分野になってしまうのです


身体の使い方を直すというのは。

2,3週間トレーニングなどをしてみて

結果が出ないからやらなくなった

なんていうのは、

非常に甘いと言わざるを得ないです



だから、そんなことになる前に


悪い癖をまずつけないことが

大事になるのです


 
 
子供の将来に
 
どうなって欲しいのか
 
それをしっかり考えた上で
 
ポアントも履かせたいですね
 
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  • ABOUT

    猪野 恵司 -Keiji Ino-

    バレエトレーニングディレクター
    プロフィール詳細

    カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で機能解剖学を学ぶ。
    大学卒業と同時にサクラメントバレエ団でプロダンサーとして活躍。退団後はバレエ専門のパーソナルトレーナーとして活動している。